国土交通省に入って15年目になる。入省のきっかけは高校生の時に遭遇した中越地震。当時住んでいた新潟県長岡市内の自宅は幸い大きな被害はなかったものの、近くに大規模な仮設住宅が建設された。それまでテレビの中の出来事だった災害が「初めて身近な自分ごと」になった。進学の際は「災害に対して何ができるのか」と考え、土木の道を選択。就職でも民間ではなく公務員を志望した。
2015年9月に発生した関東・東北豪雨の被災地で復旧事業に取り組む関東地方整備局下館河川事務所へ18年に異動し、復旧工事の発注や監督を担当。通年施工で復旧の完了を急いだが、大雨の際は水位が上がり「ヒヤヒヤした」経験も。事務所の工務課から出張所の監督業務へと担当が変わったため、自身が積算した設計図面が立体として形になっていくのを目の当たりにするという「面白い経験をさせてもらった」。
本局勤務を経て、23年に下館河川事務所で水防担当を務めた。自身の出す警報が地方自治体の避難判断に直接つながる重要な業務。「一つ一つの判断が住民の命につながっている。ボタン一つ押すことは簡単だが、重いものを感じた」と振り返る。
これまでインフラ管理を担当したことがない。「今後、管理の重要性がますます高まってくるので、地に足が着いた仕事をきちんとやっておきたい」と将来を見据える。
国土交通省関東地方整備局河川部河川計画課(かわかみ・ともみ)