日建連/民間建築工事9割が初回見積もりで適切工期、発注者指定も増加

2024年12月24日 行政・団体 [2面]

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 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)の調査によると、2024年度上期(4~9月)に民間建築工事で時間外労働の上限規制を順守できる適切な工期の実現が進んでいることが分かった。初回見積もりでの適切な工期設定は、発注者からの指定も含め全体の89・7%を占め、前回調査の23年度下期(23年10月~24年3月)を13・5ポイント上回った。初回見積もりの93・7%が契約に反映された。建設業の時間外労働上限規制が広く認知され、「発注者の理解を得られたことがこの結果につながった」(日建連)とみられる。
 日建連は23年に「適正工期確保宣言」を決定。時間外労働の上限規制順守を目的に、初回見積もりで4週8閉所などを原則とする工期を提示する取り組みを展開している。調査は同宣言のフォローアップとして行った。調査対象は初回見積もりが23年10月以降、契約が24年4~9月。会員企業140社中93社が回答した。
 24年度上期に提出した初回見積もりのうち、建設会社自ら適切な工期で提出したのは67・9%。発注者から適切な工期を指定された見積もりは21・8%となり、計89・7%が初回見積もりで適切な工期を提示した。
 自ら適切な工期を提示した割合は前回調査と比べ8・3ポイント低下したが、今回調査では新たに発注者から適切な工期を提案するケースが出たことで、全体では割合が上昇した。日建連は発注者からの適切な工期の提示について「発注者の意識が変化している。この動きが広まってほしい」としている。
 適切な工期を提示した初回見積もりのうち、93・7%(1726件前回調査比10・9ポイント上昇)となる1726件で工期が契約に反映された。このうち建設会社自ら適切な工期に基づく見積もりを作成したのが89・5%、発注者の指定工期に対して適切な工期について説明し、理解を得て適切な工期で契約に至ったのが3・7%、発注者が適切な工期を指定したのが0・3%だった。
 適切な工期が契約に反映されなかった工事は6・7%。それらの工事の特徴をみると、冬季の施工が制限される積雪寒冷地の工事や、供用開始時期が明確に決まっている学校の改修工事、工期延長が難しい補助金活用工事などに多い傾向があった。