大成ロテック/残コン・戻りコンを直接受入、再生材へ処理スキーム構築

2024年12月26日 企業・経営 [1面]

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 大成ロテックが産業廃棄物の中間処理施設「城南島リサイクルセンター」(東京都大田区)で、都内の建設現場で増加する残コンクリート・戻りコンクリートの受け入れ事業を展開している。生コン工場には戻さず、不養生コンクリートを産廃の汚泥として直接受け入れ処理するスキームを構築。専用の養生プールで固化した後、コンクリート廃材(コンがら)と一緒に破砕設備で中間処理し、再生路盤材を製造・販売する。今後も多様なニーズに応え、持続可能な資源循環サイクルの構築に貢献していく。
 同社の城南島リサイクルセンター(城南島3の1の1、敷地面積8825平方メートル)は、2015年4月に産廃中間処理施設として稼働を始め、コンがらやアスがらなどを受け入れ処理してきた。
 20年3月には残コン・戻りコンの処理事業も開始。「建材商社から都内で残コン・戻りコンが受け入れられる工場を増やしてほしいと生コン工場が強く要望している実態を聞き、産廃中間処理事業とのシナジー(相乗効果)が見込めると判断した」と、同社の田邉仁城南島リサイクルセンター工場長は事業に乗り出した狙いを説明する。
 臨海部の工場地帯に立地し、残コン・戻りコンが多く発生する都心の建設現場から近いこともあり、同センターの受け入れ量は年々増加している。20年度に約1・2万トンだった受け入れ量は、21年度約2・1万トン、22年度約2・5万トン、23年度約3・2万トンと推移。現在約30の生コン工場と契約し、24年度も約3万トンを見込む。
 生コン工場から出荷されたものの、都内の建設現場で使われずに残って返される残コン・戻りコンは、全体の約3%に当たる約24万立方メートルと言われる。こうした不養生コンクリートは一般的に生コン工場で固化・破砕し、産廃として処理されている。多くの生コン工場で固化するために必要な敷地の確保が難しく、破砕時に発生する騒音や粉じんなどの問題も抱えているのが現状という。
 今後もコンがらや残コン・戻りコンの処理ニーズは高いと見られる。だが同センターは当面、現在の受け入れ量を維持する方針。コンがらや残コン・戻りコンなどから製造する再生路盤材の需要が低迷しているためで、こうした需給バランスや施設の保管・処理能力も考慮してさらなる受け入れ調整が必要としている。