BIM関連サービスを手掛けるU’sFactory(横浜市保土ケ谷区、上嶋泰史社長)は、BIMのモデリングや積算などを効率化するシステムの一体展開を強化する。グラフィソフトのBIMソフト「Archicad」に対応した自動化システムを主軸に、建築構造図面の部材リストをAIで自動解析するツールなどと組み合わせることで、半自動的に見積書などを作成できる。若手らへの実践的な教育にも応用可能と見ており、働き方改革にも生かしてもらう。
U’sFactoryが展開する自動化システム「BI For Archicad」は、対象建築物の鉄筋や足場、屋根などさまざまなオブジェクトを自動的に生成して、計画立案や積算などの生産性を高める。構造3Dモデル作成ツール「BI Structure」や、部材リストをAIで解析できるシステム「AI Structure」も提供。3Dモデル上で情報共有できるウェブコミュニケーションツール「Info360」も含め連動して利用することで、業務効率化を後押しする。
例えば、PDFデータの構造図から鉄筋本数などを拾う場合、読み取る範囲を設定すると、3Dモデル上の当該箇所にオブジェクトや文字情報を自動的に生成する。部材リストなども作成できる。未抽出の部分が生じる場合があるが、そこだけを対象に再度AI処理する機能も搭載している。
自動作成された梁などの部材リストは、断面形状などと見比べながらチェックできる。部材リストは、CSV形式で出力でき、手入力の手間や誤記リスクを減らす。これらのデータを基に、集計表や見積書まで作成可能だ。Info360を通じて、確認事項や修正履歴も蓄積できる。
現場管理用の黒板を自動作成することも可能。黒板を3Dモデル上に並べて表示し、写真撮影に最適な角度も提案する。
手入力作業を極力なくして、BIMのモデリング・修正作業を10分の1に減らすのが同社の目標。上嶋社長は「目標とする効率化に近づいてきた」との見解を示す。未熟練者でも一連の業務を手掛けられるため、「BIMを通じた教育ツールの意義も見えてきた。さらに開発を進めて完成形を目指す」と話す。