政府が近く決定する2025年度予算案を巡り、加藤勝信財務相と中野洋昌国土交通相の大臣折衝が24日に行われ、上下水道施設の耐震化や防災対策の強化につながる個別補助事業の創設・拡充が認められた。
耐震化していない施設の被災で断水などからの復旧が長期化した能登半島地震の教訓を踏まえた判断となる。折衝を終えた中野国交相は「事前防災のハード対策を推進する。上下水道一体で耐災害性、持続可能性の強化に最大限取り組む」と話した。
25年度予算案に関係経費として110億円を計上する。浄水場や送水管、下水処理場など上下水道システムの急所となる基幹施設(急所施設)の耐震化を集中的に支援する「水道基幹施設耐震化事業」「下水道基幹施設耐震化事業」を創設する。
さらに河川事業や道路事業との連携による効果的な土砂災害対策を支援する既存の「事業間連携砂防等事業」を拡充。上下水道システムの急所施設が土砂災害警戒区域内に位置する場合、連携して土砂災害対策も実施できるよう補助対象のメニューに追加する。
折衝では、海上保安庁による多目的巡視船の建造や職場環境の改善に向けた宿舎整備のための予算増額も認められた。大型巡視船の増強配備で宿舎需給が逼迫(ひっぱく)している鹿児島県内に新たな宿舎を整備する。PFI方式を念頭に置いたアドバイザリー業務などに必要な経費として300万円を計上。27年度の着工、30年度の完成を予定する。