国交省/能登半島地震の復旧・復興状況まとめ、年内に応急対策完了

2024年12月27日 行政・団体 [1面]

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 2025年1月1日に能登半島地震から1年になるのを控え、国土交通省は復旧・復興の現状をまとめた。9月に豪雨災害が被災地を再び襲い、復旧にも影響を及ぼしたものの、切迫した箇所の応急対策は年内にほぼ完了し、本復旧が始まりつつある。ハード整備だけでなく産業やなりわいの再生に向けた取り組みも本格化し始めている。
 被災地では石川県が6月に「創造的復興プラン」を策定。被災市町でも復興まちづくり計画の策定に取り組んでおり、25年3月中に全ての被災市町が計画を策定できる見通し。応急仮設住宅は計画全戸数が着工済みで25年3月末までの完成を目指す。災害公営住宅は大半の自治体が24年度内に設計に着手。先行する能登町などでは25年夏ごろに着工する予定だ。
 断水の長期化が課題となった上下水道は、9月の豪雨被害も含め、全ての居住地域で20日までに断水が解消した。住民と修理事業者のマッチングを県が25年3月末まで延長し、個別住居の水道修繕も促している。
 生活の基盤となる道路は、被害の大きかった国道249号で、直轄権限代行により27日までに輪島市門前町から珠洲市までの沿岸部で通行を確保した。被害が大きかった中屋トンネル区間は25年夏ごろをめどに2車線通行を確保する予定だ。冬の降雪対策として国、県、自治体が連携した除雪体制の強化にも取り組む。
 河川では9月の豪雨被害も含めた復旧を急ぐ。地震で河道閉塞(へいそく)が発生した河原田川、町野川は豪雨の際に応急復旧が効果を発揮し、土砂ダムの決壊を防止。9月豪雨で甚大な被害を出した塚田川を含め被災した38河川中20河川で24年内に応急復旧が完了し、残る河川でも25年の出水期前までに対策を終える計画だ。
 海岸堤防は地元調整を進め、26年度の台風期前の本復旧完了を目指す。和倉温泉では崩壊した民有護岸を公有化した上で、20日に本復旧に着手。周辺温泉旅館と一体となった復旧を目指し官民で協力し、取り組んでいく。震災直後に大きな役割を担った能登空港は滑走路以外の部分の復旧を27年度中に完了させる。
 液状化被害が大きかった内灘町では液状化対策を盛り込んだ災害復興計画を策定。かほく市も年度内に同様の計画をまとめる。計画に基づき25年度以降に実証実験などを実施し、対策方法を探ることになる。