日本工営が、AI技術を駆使して橋長10メートル以下の小規模橋梁の定期点検の効率化に取り組んでいる。山口県の小規模橋梁の定期点検に、県と共同開発した点検アプリを導入。記録作成機能により、点検結果を県の記録様式に整える手間が省ける。3Dモデル上に損傷情報を関連付ける機能も備えた。事前検証では作業時間を約2割削減できた。
損傷程度の評価を支援するAI技術をタブレット端末で使用する。損傷箇所を撮影して損傷の種類や部位などの情報を入力し「評価実行」のボタンを押すと、AIが解析した損傷状況の評価・判定結果を表示する。この結果を点検アプリ上で点検記録としてまとめることができる。
同社は土木研究所構造物メンテナンス研究センター(CAESAR)の「AIを活用した道路橋メンテナンスの効率化に関する共同研究」に参画し、AI技術などに関する最新知見を積極的に取り入れている。
2022年度に山口県の「AIによるインフラ点検・診断システム」設計業務を受託。県内に約2600橋ある小規模橋梁の定期点検を高度化・効率化するため県と協働し、県独自の損傷判定基準や点検記録様式を踏まえてシステムを開発した。県内市町でもシステムの採用が進む。山口県の取り組みは、1月に国土交通省のインフラメンテナンス大賞優秀賞を受賞している。
同社は今後、山口県を好事例とし、他の地方自治体の定期点検の高度化・効率化に向けたコンサルティングサービスに取り組んでいく考えだ。