宮崎市上下水道局は、上下水道の新たな事業計画「みやざき水ビジョン(2025-2034)」の素案を公表した。南海トラフ巨大地震などの災害発生に備え、上下水道施設の耐震化や津波対策、危機管理体制を強化する。人口減少に伴う労働力不足を懸念し、AIやドローン、人工衛星など最新技術を活用した施設の点検・調査を推進。厳しい見通しの財政状況を受け、官民連携による持続的な事業運営の方策も検討していく。
計画期間は2025~34年度。各年度ごとに施策の取り組み状況を確認し、必要に応じて内容を見直す。
期間内の主な概算事業費については、上水道の経年管更新に約88億円、幹線管路耐震化に約72億円を計画。公共下水道の改築更新には約295億円、耐震・耐津波化に約95億円を見込む。施設の耐震化率に関する成果指標では上水道の基幹管路を23年度時点の43・9%から34年度に47・2%、下水道の重要幹線などを90・6%から92・1%にそれぞれ引き上げるとした。
DX推進では管路の経年劣化に対し、人工衛星からのレーダー照射を活用して効率的に漏水を確認する技術を導入。目視点検の不可能な大規模な水管橋にはドローン点検で事前の事故防止に努める。危機管理体制の強化では1973年に完成して老朽化している上下水道局庁舎について、災害対応の拠点機能を維持・強化していけるように今後の在り方を検討する。
官民連携の推進では、施設の維持管理や修繕、更新を一体的に民間に委ねる「ウオーターPPP」の導入可能性について上下水道ともに調査・研究を進める。
20年2月の前計画の策定後にコロナ禍や物価高騰などで大きく社会情勢が変化し、1月の能登半島地震や8月の日向灘地震で巨大地震への危機感が高まったことを受け、ビジョンの改定に着手。財政運営の方針「宮崎市上下水道局経営戦略」と統合させた上で新計画としてまとめた。