中野洋昌国土交通相は昨年末に日刊建設工業新聞など建設専門紙の新春共同インタビューに応じた=写真。1年前の能登半島地震など直近の災害の教訓を踏まえ防災・減災、国土強靱化を推進し「2024年度補正予算を迅速で着実に執行するとともに、25年度当初予算の施策効果が早期に発揮されるよう予算成立に向け取り組む」と強調。建設業を所管する立場から、年末に控える改正建設業法の全面施行を見据え「賃金や労働時間など処遇の改善を実現し、将来の見通しが持てる魅力的な産業を目指していく」と意欲を示した。
--防災・減災、国土強靱化にどう取り組むか。
「激甚化・頻発化する豪雨災害や切迫する大規模地震などから、国民の命と暮らしを守ることは国の重大な責務と認識している。『防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策』に基づく取り組みを着実に進める。5か年加速化対策後も中長期的で明確な見通しの下、継続的・安定的に防災・減災、国土強靱化に取り組めるよう『国土強靱化実施中期計画』の早期策定が重要だ」
--改正業法への対応を建設業界にどう働き掛ける。
「昨年12月の改正法の一部施行で資材高騰分の転嫁対策を強化した。12月には国が定める『労務費に関する基準(標準労務費)』に基づき、労務費などが著しく低くなることになる見積もりや注文者による見積もり依頼を下請取引も含めて禁止する。これらの仕組みを有効に活用するため、まずは契約当事者間で新ルールにのっとって価格交渉や転嫁協議に努めてもらう必要がある。立場の弱い下請企業が交渉しやすくなるよう、新しい制度運用上の留意点についてガイドラインを作成・周知し、業界を挙げての交渉努力を国から呼び掛けていく」
--建設現場の生産性向上の取り組みは。
「インフラの整備・管理を持続可能なものとするため、昨年4月にi-Construction2・0を掲げ、より少ない人数で生産性の高い建設現場を実現する方針を示した。ICT施工の原則化など、建設現場のオートメーション化に向けた取り組みをさらに進め、40年度までに少なくとも省人化3割、生産性1・5倍を目指す。多様な人材が活躍でき、未来への前向きな新3K、すなわち給与が良く、休暇が取れ、希望が持てる建設現場の実現につなげていきたい」。