◇女性活躍推進・省力化などが鍵
2024年4月に時間外労働の罰則付き上限規制適用が始まり、建設業の働き方改革は待ったなしの状況に追い込まれた。令和世代の若者が優先する就職条件は、従来の仕事のやりがいやステータス、給料の多寡などではなく「休日が取れること」、「個人の生活リズムを守れること」などプライベートの充実に比重を置くものが多いという。経営者や幹部社員世代と価値観が乖離(かいり)している若手社員を獲得するため、建設業界は試行錯誤を繰り返している。安全・安心な職場環境づくりや旧3Kに代表されるマイナスイメージを払拭するとともに、休日の取得や作業環境の改善、DX導入推進による業務の効率化など、多面的な改善に取り組んでいる。神奈川県建設業協会(渡邉一郎会長)など建設関連団体は国や行政、設計、経済団体などに、発注段階・設計段階での余裕ある適正な工期確保の要望を続けている。国交省を先頭に行政は適正な工期設定と柔軟な設計変更などへの理解を示しているが、民間発注工事までは行き渡っていないのが実情だ。災害に強い国土づくりや将来につながる良好な都市基盤を維持するためにも、建設業の担い手を確保し技術を承継する必要性はますます高まっている。