中建審WG/雇用に伴う「必要経費」確保・行き渡りも論点、法定福利費や安衛費

2025年1月8日 行政・団体 [1面]

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 改正建設業法に基づき適正な労務費に併せ、雇用に伴う「必要経費」の確保・行き渡りが必要との議論が持ち上がっている。国土交通省は昨年末、確保すべき必要経費の範囲について考え方を提示。以前から業法に規定する「通常必要と認められる原価」として適正な確保を求めてきた▽法定福利費(事業主負担分)▽安全衛生経費▽建設業退職金共済(建退共)掛け金-の三つを、見積書への明記などで内訳を明確にして下請企業まで行き渡らせる経費と位置付ける方針だ。
 改正法では受注者に工事種別ごとの労務費や材料費を内訳明示した「材料費等記載見積書」を作成するよう努力義務を課す。材料費等記載見積書に内訳明示する事項には「適正な施工確保に不可欠な経費」も含まれ、国交省は法定福利費をはじめとした具体的な内容を法施行に合わせ省令で定める予定。これにより労務費、材料費に併せて特定の一部経費についても、著しく低い額での見積もり提出と見積もり変更依頼が禁止となる方向だ。
 「労務費に関する基準(標準労務費)」の実効性確保策を検討する中央建設業審議会(中建審)のワーキンググループ(WG)では、技能者に支払う賃金の原資となる労務費に加え、技能者の雇用や現場の労災防止のため建設業者が負担する必要経費が併せて確保される商習慣の形成が必要との意見が出ている。労務費と同じように必要経費でも、ある程度の基準値を定めなければ、契約交渉時に確保するのが難しいという業界関係者もいる。
 国交省は労働者の雇用に伴う必要経費の参考値として公共工事設計労務単価の41%という数値を公表している。これには法定福利費の事業主負担分や労務管理費、安全管理費などの現場作業にかかる経費が含まれる。
 WGの昨年末の会合では、労務費相当分の41%を必要経費の基準値といったん位置付け、これを下回る契約交渉が許されないよう国に指導を求める委員がいた。