いであ/汽水環境評価ツールを開発、河道状況や水位変化予測

2025年1月9日 企業・経営 [3面]

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 いであは、河川の流れや河床変動を解析するソフトウエアのiRICを活用した「汽水環境評価ツール」を開発した。iRICの河川環境予測評価プログラム(EvaTRiP Pro)を汽水域用に改良したツールで、将来の河道状況や干満潮時の水位変化を予測する。予測結果を基に、掘削後の干潟環境の維持可能性や、動植物の繁殖状況などを把握できるようになる。
 汽水域の動植物の生息場評価には、干満に対する相対的な地盤高を指標としたものが有効となるが、既存のEvaTRiP Proはこの指標を環境評価に利用できない。開発した同ツールはEvaTRiP Proの公開ソースコードをベースに、干満に対する相対的な地盤高を用いて評価できるように改良した。
 同ツールは国土交通省関東地方整備局荒川下流河川事務所からの委託で開発した。同事務所管内の荒川下流域で河道掘削後の河川環境を、同ツールを使って予測評価した。対象区間で平面の2次元河床変動計算を行い、将来の河道形状を予測。この結果をiRICのNays2DH(平面2次元解析用ツール)にインポートすると、平均干潮位から平均満潮位にかけての水位変化を計算できる。
 ヨシとクロベンケイガニの将来的な適地分布を調べたところ、ヨシの生育適地は河道掘削で減少するものの将来的に増加すること、クロベンケイガニの生育適地や干潟の面積は河道掘削により増加し、将来的にもある程度維持されることを確認した。