国土交通省は、建設現場の省人化につながる建設機械の認知拡大と普及を後押しする。ICT建機を認定する既存制度の対象に「省人化建機」を追加し、建機メーカーなどからの申請受け付けを9日開始した。認定要件として同一作業にかかる人工数の算出結果を示し、従来建機と比べて3割超の削減が可能という性能の担保を求める。ICT建機に加え、バケットを自在に回転したり傾けたりできる「チルトローテーター」機能を持つ建機を新たに認定対象とする。
ICT建機の認定制度は2022年6月に創設。従来建機への後付けでICT機能を持たせる装置群を含め、24年12月までに84型式を認定した。認定建機は機体にロゴマークを表示可能。施工現場で日常的に行っている精度確認試験の記録・提出を不要にし、現場で作成する書類を削減できるインセンティブを設けた。
国交省はi-Construction2・0で40年までに省人化3割という目標を掲げた。この達成に寄与する建機の普及を、認定対象の追加で促す考え。当面はバックホウとブルドーザーの2機種だけで認定を開始し、後付け装置は対象外とする。ICT建機の認定を取得済みの型式でも、3割超の省人化という基準を満たせば「省人化建機」としての認定も得られる。
ICT機能がなくても、チルトローテーター機能だけでも省人化の基準を満たせば認定を取得できる仕組みとした。一般的にICT建機のメリットが出にくい狭い現場での細かい作業に効果を発揮する機能とされ、国交省は認定制度を通じ普及を後押しする。バケットをさまざまなアタッチメントに交換できるマルチツール機能を併せて備える場合が多く、使い方次第で従来は人力で行っていた多くの作業を建機に置き換えることが可能になる。
チルトローテーターはスウェーデン発祥で、同国のメーカーの製品を中心に日本を含む世界各国で販売されている。同国にあるほぼすべてのバックホウに搭載されるなど欧州などで普及が進展。日本では意欲的な一部の建設会社が導入しているが世界的に見ても普及率が低い状況にあるという。