大成建設ら/セメント不要のグラウト材開発、製造時CO2を8割削減

2025年1月10日 技術・商品 [3面]

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 大成建設とブイ・エス・エル・ジャパン(東京都新宿区、山村徹社長)は、環境配慮型のグラウト材「T-eCon/アンカーグラウト」を共同開発した。セメントを使わない結合材を使用することで、セメントと水の結合材に混和剤を混合した従来のグラウト材に比べ、製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を約80%削減する。今後は仮設アンカーの山留め工で積極的に適用。数年以内に砂防・地すべり技術センターの認証取得を目指し、永久アンカーの斜面安定工や地山補強工でも適用を図る。
 環境配慮型のグラウト材はVSLグラウンドアンカー工法に用いるグラウト材の環境負荷を低減するため、大成建設が開発した環境配慮コンクリート「T-eConcrete/セメント・ゼロ型」を応用して開発。セメントの代わりに高炉スラグ微粉末を主とする粉体などで構成する。
 製造時のCO2排出量を約80%削減する通常型に加え、多様な施工環境に備え少量のセメントを添加する早強型も用意。通常型が緊張に必要な基準強度に達するまで施工後1週間程度かかるのに対し、早強型は3日に短縮する。製造時のCO2排出量も約75%削減できる。
 名古屋市上下水道局が発注した「春日井浄水場沈澱池整備事業」の山留め壁に採用。仮設アンカー工の一部に早強型を約38立方メートル適用し、従来のグラウト材を用いた場合と同様の施工性や性能を確認した。