関西鉄筋工業協同組合(岩田正吾理事長)と梅花女子大学(河村圭子学長)の産学連携による絵本制作プロジェクトの成果をたたえる表彰式が9日に大阪府茨木市内の同大学キャンパスで行われた。4人の女子大学生が制作した絵本『3びきのこぶたとつよいおうちのひみつ』は子どもやその保護者に鉄筋工事の重要性を伝えるユニークな試み。昨年11月に開かれた子ども向けキャリア体験イベント「みらいのたからばこ2024大阪」で配布された。
冒頭、河村学長は「学生の皆さんの感性が生きた素晴らしい作品だ。鉄筋とコンクリートを人間の骨と筋肉に例えた発想は秀逸で、大変感激した」と述べた。
続いて岩田理事長があいさつに立ち「われわれにはない発想で重要なメッセージを端的に伝えている。未来の担い手育成の第一歩として意義深い取り組みだった」と称賛。業界が直面する人材不足の課題にも触れ「こうした活動が建設業界の魅力を広く伝える大きな力になる」と語った。
学生たちもそれぞれ感想を語り、テナ愛子さんは「鉄筋工事について何も知らなかったが制作を通じて重要さを学んだ」と振り返り、出村彩乃さんは「この活動が子どもたちの将来の夢のきっかけの一つになったらすごく素敵なこと」と語った。藤村優姫さんは「父が絵本を見て『いいじゃん』と褒めてくれたことが一番うれしかった」と個人的なエピソードを交え、渡邉なごみさんは「子どもたちもきっと喜んでくれたはず。制作に関わったことを誇りに思う」と話した。
学科長の藤井奈津子教授は「なじみ深い物語を鉄筋の仕組みと組み合わせたことで幅広い世代が楽しめる作品が生まれた」と述べた。指導教員の目久田純一准教授も「学生たちが未知の業界と向き合い新たな価値を生み出したことに大きな意義がある」と振り返った。
国土交通省不動産・建設経済局の職員は「こども霞が関見学デー」での絵本の活用を提案し、絵本の教育的価値と分かりやすさを高く評価した。
最後に岩田理事長は絵本の続編制作に関して、学生たちの感性を生かしつつ、他の専門工事業種も含めた新しいストーリー展開の可能性にも言及。大阪・関西万博で予定される「みらいのたからばこ」への出展も見据え、さらなる連携を大学側に呼び掛けた。
絵本では3匹の子豚が鉄筋を使って「オオカミにも壊されない強い家」を造る方法を学ぶ姿が描かれている。キャラクターのデザインも学生自ら考案した。