国交省が標準労務費で職種別意見交換を開始/鉄筋や型枠、元下で認識共有へ

2025年1月14日 行政・団体 [1面]

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 改正建設業法で規定する「労務費に関する基準(標準労務費)」の現場実態を踏まえた運用に向け、職種別に関係する専門工事業団体と元請団体、国土交通省による意見交換が3職種・分野でスタートした。国交省によると、それぞれの初会合で元下双方の関係者が、公共工事と民間工事を問わず公共工事設計労務単価をベースとした労務費が行き渡るような基準作成を目指す方針を確認したという。
 標準労務費の素案を先行的に作成する2職種のうち「鉄筋」は全国鉄筋工事業協会と全国圧接業協同組合連合会、「型枠」は日本型枠工事業協会が議論の主体となる。日本建設業連合会、全国建設業協会、全国中小建設業協会、建設産業専門団体連合会の4団体も参加する。まずは制度運用の課題を洗い出すことが目的の「住宅分野」は住宅生産団体連合会、全国建設労働組合総連合、全国住宅産業地域活性化協議会、全国工務店協会を中心に議論する。
 標準労務費の細分化は最小限とし、現場条件などを踏まえ個別の契約で交渉・補正が可能な形で作成すべきとの意見が多い。歩掛かりを含めた見積書の内訳明示に下請の抵抗感が根強いとしつつ、適正な労務費確保には不可欠として業界内で周知する必要性を訴える声もあった。契約段階で労務費を確保する法規制が及ぶ範囲にとどまらず、実際の賃金支払いまでを担保する方策の検討も論点。賃金支払いの責務は雇用する事業主が負っていると十分理解した上で制度設計すべきとの意見があった。