関東地方整備局は、2019年度の東日本台風を契機に改定作業を進めている多摩川河川整備計画の骨子案をまとめた。現行の河川整備計画や緊急治水対策プロジェクトを踏まえ、河道拡幅や高さと幅が不足している堤防の築堤などを推進。目標流量を現在の毎秒4500トンから7200トンに引き上げ、洪水の発生を軽減する。本年度に原案を策定し、25年度に計画をスタートする予定だ。
骨子案は14日に京浜河川事務所で開いた第1回「多摩川河川整備計画関係都県会議」で示した=写真。広範囲に強い雨が降った東日本台風では基準地点がある石原水位観測所で戦後最大となる毎秒7300トンの流量を記録した。骨子案では、洪水を安全に流すことを念頭に多摩川の目標流量を同7200トンに見直す。
目標達成に向けては多摩川の▽上流▽中上流▽支川浅川▽中下流▽下流▽河口-ごとに対策を講じる。多摩川は堤防整備率が高く、対策内容は河道掘削がメインになる見通し。多摩川や浅川の一部では堤防の幅や高さが不十分な箇所もあり、引き続き築堤も実施する。流域内にある小河内ダム(東京都奥多摩町)で事前放流を行うなど大規模な水害を想定して洪水調整機能の強化も図る。
河道の掘削形状は生物が生息しやすいように高水敷から澪筋(みおすじ)にかけて緩傾斜を描くように工夫する。エコトーンと呼ばれる水際にアイアシやヨシなどを植え、トンボなどの昆虫類の生息環境を保全する。河川整備計画の対象期間は20~30年程度を想定する。
整備局は17日に開く有識者会議や次回の関係都県会議などを踏まえて原案を策定する。緊急治水対策プロジェクトの完了後、修正した計画をスタートする予定だ。