国土交通省は地域建設業の災害対応力を強化する観点で、迅速な応急復旧活動につながるICT機器の活用を後押しする。2024年度補正予算で新たな補助事業を創設。事務手続きを担う執行団体を公募で近く決める。地域の建設業団体が会員企業向けに行う防災訓練でICT機器を導入する際の費用や、ICT機器の研修の実施にかかる費用の一部を補助することを想定。災害時だけでなく、平時の施工管理でも有効活用できるICTの習熟度を高める狙いもある。
24年度補正予算に関連経費2億50百万円を計上した。現状は補助事業の要項などで財務当局と調整中。執行団体は災害対策基本法に基づく指定公共機関の建設業団体を対象に選定する。25年度にまたがる形で執行団体を通じ、各地域の建設業団体からの申請に応じて補助金を交付する。補助率は対象となる費用のうち2分の1以内とする予定。
補助対象とするICT機器として▽ウエアラブルカメラ▽ドローン▽四足歩行ロボット-などを例示する。各団体が会員企業の作業員などが参加する防災訓練や活用方法の研修を行う場合、こうしたICT機器の購入・リース費用に補助金を充当できる。研修会場の確保や講師の招聘(しょうへい)などの費用も補助対象となる可能性がある。
補助事業を通じ迅速な応急復旧にICT機器を活用する体制を各団体に構築してもらう。国交省は複数事業者が交代制で応急復旧に入る場合、現場状況の円滑な共有に役立つ効果などを挙げる。二次災害のリスクがある被災現場でも安全性の高い施工が可能になるとも指摘する。
国交省は23年度、地域建設会社に災害発生時の初動対応の課題などを聴取する実態調査を実施。多くの企業から、発災直後に現地の被災状況が把握できず、安全で迅速な現地へのルート確保などが難しかったという声が上がった。実態調査の報告書では、遠隔・無人で現地状況を確認できる装備の有効性や、災害関連情報の共有・提供システムの活用方法を習得する必要性を指摘していた。