竹中工務店らは、スギを加工したCLT(直交集成板)に透明性と耐久性に優れた難燃化塗料を塗布した内装向けの準不燃材料を開発した。このほど同社単独で準不燃材料の国土交通大臣認定を取得。建築基準法の内装制限を受ける天井や壁の仕上げで、スギCLT表面の木目がきれいに見える温かみのあるデザイン空間を実現する。当面は同社が設計、施工する物件に適用を検討し、将来的には他社のゼネコンなどが施工する物件にも適用拡大する方針だ。
カシュー(さいたま市北区、戸次強社長)、長瀬産業(東京都千代田区、上島宏之社長)、ナガセケミカル(東京都中央区、荒島憲明社長)と共同で開発した。竹中工務店は防火性の実証と施工性の評価、カシューは新規塗料の配合設計や塗装作業性向上に向けた検討、長瀬産業とナガセケミカルは新規塗料を開発するための材料提案、調達をそれぞれ担った。
建築基準法では可燃物の木材を内装材として壁や天井に使用する場合、同法の内装制限に適合させる必要がある。一般的に木材表面に難燃化材料を塗装し対応しているものの、従来の難燃化塗料に含まれる無機系難燃剤は透明性を低下させる場合があり、木目を長期間きれいな状態で見せることに課題があった。
今回開発した準不燃材料には無機系難燃剤を含まない水ガラス系塗料を用いることにより、従来の難燃化材料に比べ透明性を高めた。さらに木材と塗膜の追従性を高める下塗り塗料と、耐水性に優れた上塗り塗料を組み合わせて耐久性も改善。スギCLTに塗布することで高い透明性と耐久性を持ち、難燃性も兼ね備える準不燃材料を実現した。
施工性も向上し、準不燃材料とするための塗装は工場だけでなく建設現場でも可能となる。
竹中工務店はスギCLTに塗装するための「燃エンヌール」工法も確立。自社で設計、施工する延べ3000平方メートル程度のオフィスや店舗、病院に適用を目指す。将来的には用途を拡大し、他社が施工する物件への適用も視野に入れる。