「地域の守り手」として災害時の迅速な対応やインフラの維持管理を担う建設業の担い手確保対策で、東北エリアの公共発注機関と建設業界が連携をさらに深める。東北地方整備局は年間を通じ、安定的な工事の実施を図るため、4~6月の閑散期で平準化率を設定。ピークカットによる繁忙期の解消を進め、経営の安定化、人材や機材の稼働日数の向上を目指す。15日に仙台市青葉区の東北整備局内で開いた「東北地方の公共工事品質確保のための連絡会議」=写真=で「東北未来働き方・人づくり改革プロジェクト」の2025年度の取り組みを明らかにした。
東北整備局と東北6県、仙台市、東北建設業協会連合会(東北建協連)で組織する連絡会議では、官民連携で▽働き方改革の推進▽生産性の向上▽担い手の確保・育成-の3本柱のプロジェクトを推進する。
東北整備局は年間を通じた、安定的な工事施工で経営の安定化を図る。全国統一指標との整合性を図りつつ、第1四半期(4~6月)の平準化率を「1・0」に設定。閑散期や繁忙期の解消を促進する。業務では年度末に集中する履行期限の平準化を進める。第4四半期(1~3月)納期の割合を「50%以下」とし、繰り越し手続きや早期発注に努める。
時間外労働の上限規制に対応するため、全ての発注機関が月単位の週休2日工事の発注を推進する。土日閉所を原則とする完全週休2日工事の試行も継続する。24年度に東北整備局発注工事で15件、福島県で50件実施。他県や仙台市も試行拡大を目指す。25年度は6県で「統一土曜一斉現場閉所」を毎週実施する。
ウイークリースタンスの取り組みは業務、工事ともに全ての発注機関で仕様書への明記が完了。ウェブアンケートによる実態把握で対応の徹底を図る。工事書類作成では情報共有システム(ASP)の全市町村導入とともに書類限定検査を拡大する。
生産性向上の推進では、ICT活用工事をさらに普及・拡大する。東北整備局は土量1000立方メートル以上を全て発注者指定方式で発注。岩手、宮城では8割の実施率を目標にICT土工工事を拡大する。3Dデータの活用など好事例をホームページなどで紹介していく。
担い手の確保・育成では、発注機関と建設業界が継続して建設業の魅力発信強化に努め、道路管理者同士の連携で除雪作業を効率化。除雪オペレーターの育成、体制強化を図る。
資材価格高騰への対応を巡っては、スライド運用基準が未策定の管内28市町村(24年11月時点)に適切な対応を求める。
会議に先立ち、千葉会長は国土強靱化の推進に向けた東北整備局当初予算の大幅な確保を要望した。強靱化実施中期計画の早期策定で東北地方への重点配分も訴えた。