関東地方整備局が半島地域の防災力強化に乗り出した。能登半島地震では、地理的条件などが理由で被災地の状況把握や初動対応が遅れた。整備局は能登半島に地形が似ている房総半島で迅速な復旧復興を実現しようと、千葉県と対応策を検討。検討成果としてインフラの位置などを可視化する地理情報システム(GIS)を構築した。孤立が予想される地域での素早い初動や復旧に役立てる。
整備局は2024年6月に千葉県の防災担当部署と共同で災害対応検討ワーキンググループ(WG)を設置し、活動を始めた。約半年の検討を経て構築したGISには県内に点在する公共施設や避難場所、水道施設と応急給水地点の位置などを表示する。
能登半島地震では道路が寸断され、多くの集落で住民が孤立した。構築したGISによって、房総半島内で孤立が予想されるエリアへの迅速な応急復旧につなげるなど「メリハリの付いた対応」(同局防災室)が期待できるという。
整備局はWGの検討を通じて緊急時の行動マニュアルとなる「災害対策運営要領」に、半島特有の地形や社会的条件を踏まえた支援内容や行動などを盛り込みたいとしている。
能登半島地震では社会的、地理的条件が原因で災害対応や自治体への支援などさまざまな面で課題が浮き彫りとなった。
平地が少なく三方を海に囲まれた地域を中心に災害への備えを強化する半島防災の機運が高まる中、千葉県では24年9月に道路啓開計画を策定した。県内の防災拠点と被災箇所を連絡する199路線(総延長1676キロ)を「啓開候補路線」として選定し、迅速な復旧に役立てるとしている。整備局と県は房総半島での災害対応を円滑に進めるための連携強化に努める。