25年に節目迎える企業/錢高組が創業320周年、前田道路らが100年企業入り

2025年1月20日 企業・経営 [3面]

文字サイズ

 2025年も多くの企業が創業・創立の節目を迎える。建設関連では錢高組が創業320周年、加賀田組が130周年となり、前田道路や三機工業、朝日工業社らが「100年企業」の仲間入りを果たす。働き方改革やDX、脱炭素など社会のニーズは多様化している。各社は時代の変化に合わせて変革しつつ、国土や地域の造り手・守り手として積み上げてきた実績や技術力を基盤に持続的成長を目指す。
 東京商工リサーチによると、25年に創業100周年を迎える企業は全国に2000社ある。業種別で建設業は4番目に多い321社と全体の16・0%を占める。創業50周年の企業は2万6719社に上る。全体の37・5%を占める建設業の1万0038社が最多だった。
 江戸時代の1705(宝永2)年に創業した錢高組。泉州尾崎村(現大阪府阪南市尾崎町)で宮大工の棟梁を代々家業としてきた錢高家が建立に携わった本願寺尾崎別院が同年に落慶した。明治期には西洋建築の新技術や近代経営の習得に努めながら事業を拡大し、1887(明治20)年に大阪市内に移り同社を創立。各時代を代表する建築物や土木構造物の建設に携わってきた。現在の中期経営計画では「強い作業所づくり」を掲げ、顧客の期待に応えていく。
 加賀田組は新潟を代表する地場ゼネコンとして、新潟飛行場や新潟市庁舎など主要な建設プロジェクトに携わってきた。近年はICT建機の活用などDXによる作業の効率化を推し進める。24年には国土交通省北陸地方整備局から「ICT人材育成推進企業」の認定を受けた。
 前田道路は、1930年に設立した前身の高野組が舗装工事の草分けとなった。近年は脱炭素に注力し、低炭素合材の製造や低温施工技術を業界で先駆けて導入。生産性向上に向けIT活用やDXを進めつつ、インフラ維持管理など事業領域の拡大も視野に入れる。
 三機工業は100周年の記念スローガンを「人に快適を。地球に最適を。」と設定。サステナブルな世界の実現に貢献するため、技術開発や人材教育に力を注ぐ。BIMや生成AIの活用による設計、施工の質向上も目指している。
 朝日工業社は、戦後に再開した紡績工場や官公庁の復旧・新築工事などを手掛け国土復興の一翼を担った。技術やサービスの独自性を強みとする「オンリーワン・カンパニー」を掲げ、新事業の開拓やグローバル化を進めていく。