6434人が犠牲となった阪神・淡路大震災は17日、発生から30年が経過した。兵庫県内では被災した各地で追悼行事が行われ、県などが主催する「ひょうご安全の日 1・17のつどい」には天皇・皇后両陛下をはじめ国や県、被災市町や一般来場者などが参列。震災の経験と教訓を次世代につなぎ、安全・安心な社会の実現に向かって心を一つにすることを誓い合った。
安全の日のつどいのテーマは「震災を風化させない-『忘れない』『伝える』『活かす』『備える』」。兵庫県公館(神戸市中央区)とHAT神戸「人と未来防災センター」慰霊モニュメント前(同)の2カ所で映像中継され、両会場合わせて約1000人が出席した。震災未経験の世代が増え、記憶の風化が懸念される中、小中高生や大学生ら若い世代の参列も目立った。
式典は午前11時45分に始まり、地元高校生らがモニュメント前の「追悼の灯り」に点灯。浜田知昭兵庫県議会議長が開会の言葉を述べた後、正午の時報とともになぎさ小学校の児童が「カリオンの鐘」を打ち鳴らし、犠牲者に黙とうをささげた。
主催者を代表して齋藤元彦兵庫県知事は「この30年の間、日本列島を数々の大災害が襲った。われわれは悲しみに耐えながら、復旧・復興に立ち上がり、経験と教訓を次の災害対策につなげてきた。兵庫県で提唱された『創造的復興』は国内外の災害復興の基本理念になった。防災・減災の取り組みは着実に前進しつつある。この歩みを止める事なく、より災害に強い社会を実現していかなければいけない」と力強く語った。
来賓の天皇陛下は「震災を経験していない若い方々が自主的に震災について学び、次世代につなごうと発信されている姿を心強く思います。知見が国内外に広がり受け継がれることを期待しています」と述べられた。坂井学内閣府防災担当相は「度重なる災害から得られた経験と教訓を生かし、世界有数の災害大国であるわが国を世界一の防災大国とするため力を尽くしていく」と述べた。遺族代表者の言葉に続いて、小学生が被災者を勇気付ける曲「しあわせ運べるように」を合唱。小中高生らが「教訓のバトンを受け取り、後世まで伝え続けることが私たち若い世代にできることです」と、メッセージを披露した。
最後に河田惠昭人と防災未来センター長が「震災の教訓はすべての災害に通じる知恵だから」と、「ひょうご安全の日宣言」を読み上げ、参列者が献花台に花をささげた。
HAT神戸のなぎさ公園などでは恒例のメモリアルウオークや防災展示、音楽ステージ、体験学習などが行われた。
神戸市中央区の東遊園地でも未明から追悼の集いが行われ、灯籠で「よりそう 1・17」の文字をつくった。被災者同士が寄り添い、神戸の復興を進めてきたことを踏まえ、東日本大震災や能登半島地震の被災地を支えようという思いが込められた。