文科省/国立大学法人等施設整備の費用目安1・4兆円、6次計画中間まとめ素案

2025年1月20日 行政・団体 [1面]

文字サイズ

 文部科学省は17日、2026年度からの第6次国立大学法人等施設整備5か年計画(6次計画)で施設整備の事業量と費用の目安を明らかにした。老朽化や強靱化などの観点から、5年間で360万~740万平方メートルの老朽改善整備、約15万平方メートルの新増築整備、約20万平方メートルの付属病院整備などが必要という。費用は物価高騰などを想定し、1兆0300億~1兆4000億円と試算した。
 対象は国立大学法人、大学共同利用機関法人、独立行政法人国立高等専門学校機構の施設。
 事業量と費用は、6次計画を検討している「今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議」の会合に、中間まとめ素案として示した。6次計画は同会議が25年度にまとめる最終報告を踏まえ策定され、文科省が同年度中に決定する。
 事業量は、同会議の専門ワーキングの検討や、老朽対策が必要な施設が今後10年でピークを迎えることなどを踏まえて算出した。25年程度の長期の安全性を確保するため、全体に占める老朽施設面積の割合を示す「老朽化率」を現行の5次計画開始時の約31%以下に抑制する必要があることや、性能維持改修、新増築の需要なども考慮した。
 中間まとめ素案は、6次計画が目指す方向性を「イノベーション・コモンズ(共創拠点)の実装化」と「地域の防災拠点の実現」とした。
 学校キャンパスでの共創の活動や地域との連携を促すとともに、施設の耐災害性を強化し、医療や避難といった防災の機能を高める。そのための施設整備の目標として事業量、費用の目安を示した。
 施設整備については、外部人材を活用したマネジメント体制の構築、施設の総量の最適化、カーボンニュートラル(CN)などを求めた。地域と産業界から投資を呼び込み、財源を多様化したり、施設系職員を確保・育成したりする必要もあるとした。
 5次計画は多様な財源の活用を含めた費用を約1兆0500億円と見積もっている。文科省によると、5次計画の老朽改善は整備内容785万平方メートルの進捗率が約59%(465万平方メートル)で、十分とは言えない状況にあるという。