青森県は、今後5年で重点的に取り組む事前防災の方向性を示す「Aomori防災・減災強化Action Program」を策定した。県や市町村、県内事業者、団体が災害時に果たす役割と対応事項を明確にする防災基本条例(仮称)を2025年内に制定。能登半島地震の教訓を踏まえ、災害関連死を防ぐプログラム策定などに取り組む。市町村と連携した防災備蓄品の共同調達業務も県主導で25年度から開始する。
アクションプログラムは▽防災じぶんごと▽避難所TKB(トイレ、キッチン、ベッド)向上▽危機管理向上-の3本柱を防災DX推進プログラムで支援しながら展開する。28年度までの期間で自助・共助・公助の取り組みを強化。能登半島地震で半島地域特性の課題が顕在化したことを踏まえ、三方を海に囲まれた青森の防災力強化を図る。
防災じぶんごとプログラムでは事業者などを含めた県民が連携して取り組むための防災基本条例をまとめる。防災士資格を持つ県民を中心に据えた地域防災力の強化や自主防災組織の設立なども推進。避難場所の環境整備では、避難所運営マニュアルを策定していない17市町村の策定を支援。県全体で防災備蓄を購入することで費用を低減し効率も向上する共同調達をスタートする。
危機管理向上プログラムとして、防災担当職員が不足する自治体の地域防災力を強化する。民間と締結している災害応援協定の推進や災害対応拠点になる県庁舎の強靱化も継続。防災DXでは訓練用の防災VR(仮想現実)などの導入や、ICTを活用した県庁リエゾン(現地情報連絡員)チームの強化などに取り組む。
17日の記者会見で、宮下宗一郎知事は「大きな災害では自分の身を自分で守るのが大前提だ。防災を『自分事』として捉え、県民一丸で取り組む」と強調した。