国土交通省は20日、「浮体式洋上風力建設システム技術研究組合」(FLOWCON)の設立を認可し、中野洋昌国交相が省内で認可書を交付した。組合員は五洋建設、東亜建設工業、東洋建設、若築建設、日鉄エンジニアリング、IHI運搬機械、住友重機械工業の7社。賛助会員としてカナデビア、JFEエンジニアリング、ジャパンマリンユナイテッドが加わる。浮体式洋上風力発電設備の合理的な建設システム、海上作業基地、気象海象予測システムの研究、技術開発に取り組む。
設立認可は、技術研究組合法に基づく措置。組合は大量急速施工と合理的な建設コストの実現を目指す。浮体への風車搭載を海上施工のポイントの一つに挙げ、基地港湾と海上作業基地とで搭載場所の比較検討などを進める。
組合の理事長を野口哲史五洋建設取締役兼専務執行役員土木部門土木本部長が務める。建設システム、海上作業基地、気象海象予測システムの研究、技術開発を担うワーキンググループ(WG)をそれぞれ設け、構成員各社が参画する。浮体式洋上風力技術研究組合(FLOWRA)と技術交流する。アドバイザーとして参画する予定の沿岸技術研究センター、海上・港湾・航空技術研究所港湾空港技術研究所、港湾空港総合技術センターから助言を受ける。
交付式で中野国交相は「(浮体式は)再生可能エネルギーの主力電源化の切り札。官民挙げての導入の取り組みが重要」とした上で、「最適な海上施工の方法の確立を期待している」と求めた。清水琢三五洋建設社長は「大量導入の課題に全力で取り組む」と決意を示した。「一つのプラットフォームで年間30基の風車を建設できれば合理的なシステムになる」とも話し、インフラとしての基地港湾と海上作業基地の重要性を強調した。
早川毅東亜建設工業社長は「協調領域の技術確立がまずは大切。世界をリードできる成果を出したい」と語った。石倭行人日鉄エンジニアリング社長は海上作業基地の技術開発に意欲を見せた。中村龍由東洋建設社長は「組合員と協力し、浮体式の促進、発展に取り組む」と話した。烏田克彦若築建設社長は「海で生まれ海で育った会社として尽力する」と述べた。野口理事長は「より精度の高いものを築き上げられるよう頑張りたい」と抱負を述べた。
沖合に展開する浮体式洋上風力発電設備の普及促進に当たり、日本埋立浚渫協会(埋浚協)は施工能力と安全性を大幅に高める作業基地「海上プラットフォーム(PF)」を提案している。水深150~200メートル程度の沖合に常設するタワー式の海上作業構台を想定。風車の事前組み立てや基礎浮体への風車の搭載のほか、維持・補修などの作業基地としての活用も見据える。
日本海側の海域をモデルケースに試算した風車組み立て・設置可能基数は、起重機船1隻で年間最大19基程度。海上PFを導入すれば年間62基程度を設置できるとしている。