回転窓/新しい相棒とともに

2025年1月22日 論説・コラム [1面]

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 会社の机を整理し、数年前に取材でお世話になった広報担当者からいただいた手紙を見つけた。記事掲載に対するお礼の言葉がつづられてあり、その丁寧な字を目で追うと取材のことなど当時の記憶がよみがえる▼パソコン(PC)やスマートフォンの普及で字を書くことが少なくなっている。ノートPCで取材メモを取る機会も増えたとはいえ、記者としてとっさの時に簡単な漢字も出てこず書けなくなっては情けないと、新しいボールペンを先日購入した▼店頭でいろいろなペンを試し書きさせてもらい、手になじむ一本と出会えた。これまでの格安ペンも役に立ってきたが、書き味は比べようもないほど良く気に入っている▼建築をCADなどのツールも使って設計するとしても、常にペンを携えて手で書くことを大切にしていると、ある建築家が話されていた。フリーハンドだからこその〈味わい〉を表現するためだという▼同じ一本のペンであってもプロ意識を持って使いこなせるかどうか。話を聞いた建築家には遠く及ばないが、いつか〈味わい〉のある文章を書くことができるように、新しいペンを相棒に励もう。