国交省/自治体の積算歩掛かり調査、独自設定など工夫収集

2025年1月22日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は地方自治体発注工事の積算に用いる歩掛かりの実態調査に乗り出す。都道府県や市区町村が発注する工事は、工事規模などの施工条件が国交省直轄工事と異なるため、歩掛かりが現場実態と乖離(かいり)しているとの声が地域建設会社などから挙がっている。自治体へのアンケートやヒアリングを通じ、直轄工事の歩掛かりをそのまま準用するのではなく、独自の歩掛かりを設定したり、入札参加者の見積もりを活用したりする工夫事例を収集。現状を把握した上で、具体的に対処すべき課題を分析する。
 2024年度補正予算で関連経費を新たに確保し、調査検討業務の民間委託先の選定作業を進めている。
 直轄工事では施工合理化調査などの実態調査を踏まえ、標準的な施工条件に合った標準歩掛かりを設定している。自治体発注工事は一般的に直轄工事と比べて工事規模が小さいため、大ロットを前提とした直轄工事の歩掛かりがそぐわない可能性が高い。ガラ運搬を例に取ると、大型トラックの使用を前提とした直轄工事に比べて、小型トラックの使用に限定される小規模な自治体発注工事ではスケールメリットが生かせず施工効率が悪くなるとの指摘がある。
 地域建設業界からは、自治体工事の多くで小規模工事に適用する歩掛かりが用意されていないと指摘する声もある。都道府県が直轄工事の歩掛かりを準用していると認識しないまま、それを準用する市区町村も多いと考えられ、現場実態と積算の不一致が固定化されている状況と言える。
 調査では特に、独自の歩掛かりを設定する自治体の事例収集に取り組む。独自の歩掛かりの作成方法などを調べる。直轄工事などの歩掛かりを準用しつつ現場実態に合うかどうかを検証する仕組みを取り入れているケースや、小規模工事で見積もりを活用した積算を行っているケースなども探る。調査期間は25年度末まで。まずは現状把握を目的とした基礎調査との位置付けで、今後の政策的対応の方向性は決まっていない。