回転窓/米有力紙が選んだ旅先

2025年1月27日 論説・コラム [1面]

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 「越中富山の薬売り」で知られる薬都の富山には、薬瓶の製造から生まれたガラス文化が継承されている▼伝統も踏まえ富山の新たな街づくりのシンボルとして、2015年に市立図書館などを併設する富山市ガラス美術館(TOYAMAキラリ)がオープン。隈研吾氏を擁する共同体が設計した建物で、美しいガラスアートのような外観が目を引き、内部には地元産の木材を使った開放的でぬくもりのある空間が広がる▼米ニューヨーク・タイムズ紙は「2025年に行くべき52カ所」を7日発表し、日本から富山市が大阪市とともに選ばれた。富山は混雑を避けながら文化的な感動と美食が楽しめ、そして能登半島地震からの復興で観光客誘致に積極的なことなどが評価された▼記事では伝統行事「おわら風の盆」や地元グルメなどが富山の魅力に挙げられ、ガラス美術館は〈木と光が織り成す大聖堂〉と評されている。外国メディアが選んだ世界の旅先で、日本の美術館建築が紹介されたのは誇らしい▼ガラス美術館は8月に開館10周年を迎える。米有力紙の記事は大きな反響を呼び、これからも多くの訪れる人を魅了するだろう。