大阪・関西万博/経産省が日本館を公開、CLT560枚使用・2月末に完成

2025年1月28日 行事 [8面]

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 経済産業省は26日、大阪・関西万博に政府が出展する「日本館」を報道陣に初めて公開した。国産杉で作られたCLT(直交集成板)と鉄骨を組み合わせた複合構造が特徴で、円を描くように560枚のCLTを使った。会場で発生する生ごみを使って浄水や発電を行うプラントも設置され、循環型社会の実現に向けた最新のバイオ技術などを展示する。内装や展示工事は順調に進んでおり、2月末に完成する予定だ。建物の基本・実施設計は日建設計、施工は清水建設が担当。
 日本館は2階建てで1周が約250メートル、直径が約80メートル。敷地面積は約1万3000平方メートルと会場内で最大のパビリオン。展示と建築を融合し、日本館のテーマとなる「いのちと、いのちの、あいだに」を効果的に表現する。CLTは閉幕後に再利用する予定。
 館内は三つのエリアで構成し、同日はプラントエリアとファームエリアを公開した。プラントエリアに設置したバイオガスプラントは微生物の力を使って生ごみを水やバイオガスなどに分解する設備で、水は建物中央の水盤(直径19メートル)にため、バイオガスはプラントの電力に使用する。プラント設備工事はカナデビアが担当した。発酵槽展示コーナーでは微生物の発酵の働きを約700枚の発光パネルで表現する。
 ファームエリアは藻類を活用したバイオテクノロジーを紹介。人気キャラクター「ハローキティ」がワカメなど32種類の藻類にふんしたコーナーや、藻類を育てる総延長1457メートルのチューブをつり下げ、光合成で酸素やでんぷんなどを生み出す装置を設置。世界最大級の重さ12・7キロの火星隕石(いんせき)「火星の石」も展示する。展示制作は丹青社・乃村工芸社JVが担当。
 日本館の黒田紀幸館長は「地球環境問題を自分事として捉え、循環型社会の実現に向けて、具体的なアクションを取っていただくことを期待している」と話した。