大阪府は近年頻発する豪雨災害を受け、土砂災害対策の新たな進め方を取りまとめた答申案「近年の土砂災害等を踏まえた土砂災害対策の進め方について」を有識者による大阪府土砂災害対策審議会で提示した=写真。27日に行われた最終審議では、最新の知見や新技術を活用しハード・ソフト施策を強化する方針を提案。今後、具体策の検討を進め、2025年度以降、必要な対策を順次実施していく。
ハード施策では災害時に復旧・救助活動を支える緊急輸送路や避難路といった重要交通インフラの保全を優先する方針を示した。災害時に重大な影響を及ぼすインフラを優先度評価に加味し、地域の対策順位を上げることで、効率的な対応を目指す。加えて答申案では、土石流対策の最優先箇所となるAランク渓流の対策が進展している現状を踏まえ、次期対策としてBランク渓流への対応に遅滞なく着手できるよう準備を進めるべきとした。
ソフト施策では土砂災害警戒区域指定の基礎調査で25年度に3巡目となるフォローアップを実施。衛星画像や画像解析技術を積極的に活用し、効率的な地形改変箇所の抽出と速やかなリスク周知につなげる。
デジタルツールを活用した防災情報の提供や避難訓練の支援を引き続き強化する。府は市町村との連携を深化させ、タイムライン作成やリスク周知を進めるほか、避難計画の策定や防災教育を充実させることで、住民が日常生活の中で災害リスクを意識し、迅速な避難行動につながる環境整備を目指す。
審議会では委員から「ハード、ソフトともに自助努力が進んでいる地域から優先的に支援していくべき」「住民向けの補助制度のリーフレットは制度内容と合わせて活用事例を掲載する必要がある」といった意見が挙がった。
答申案は3月末までに最終調整を行い、知事への答申後、ホームページで公表する。