長野県が東ティモールの技能実習生を建設業に受け入れるための取り組みを後押しする。ロジェリオ・アラウジョ・メンドンサ職業訓練雇用担当長官らが28日、長野県庁に阿部守一知事を表敬訪問し、意見を交わした。阿部知事は「東ティモールの人材に地域社会で活躍していただければと思う。新しい関係をつくり、力を合わせて課題解決に当たりたい」と語った。同国人材を建設業に受け入れる取り組みは国内自治体で初めてという。
ロジェリオ長官は「(東ティモールは)外国でスキルを身に付けて国に貢献したいという若者がたくさんいる。インフラや建設分野の関係を深められればいいと思う」と今後の展開に期待を寄せた。同行したイリディオ・シメネス・ダ・コスタ駐日東ティモール特命全権大使は「建国から約20年とまだ若い国のため、人材育成が課題だ。今後も協力をお願いしたい」と話した。
表敬訪問には、全国建設業協同組合連合会(全建協連、青柳剛会長)の担当者や、長野県建設業協会の木下修会長も同席した。
全建協連は2024年10月、建設経済研究所の佐々木基理事長を団長とする訪問団で東ティモールを訪れた。その際に同行した木下会長は「国民の平均年齢が平均20歳と若いこともあり、バイタリティーにあふれている」と振り返り、実習生受け入れに際しては「同じ地区の実習生で集まれる仕組みを考えたい」とした。
長野県の新田恭士建設部長は「(東ティモールは)国が窓口になり若者を託そうとしている点に熱意が感じられる」と語った。「長野県の建設業は火山噴火や地震へと向き合ってきた歴史がある。そうした場所での経験は(実習生が)東ティモールの国づくりに携わる上でも役に立つだろう」とし、「日本の若手技術者とともに、記憶に残るような現場を見学できる場も設けたい」と話した。