異例ずくめの10時間30分だった。元タレントのトラブルを巡り、フジテレビが27日午後4時に開始した記者会見は日付をまたいで28日午前2時20分過ぎに終了した▼前回17日の会見は、動画撮影の禁止やクラブ加盟社に限定して開いたために世論の反感を呼ぶことに。それから一転し今回はメディアを制限せず191媒体・約450人が参加した▼結果的には非常に後味の悪さが残った会見と言えよう。前回に続き歯切れの悪い回答が目立ち、質問側も意図が不明確で私見を延々と述べたり、大声で叫んだりする記者も見受けられた▼最も印象的だったのは、フジテレビの社会部記者が一連の問題や自社の対応について「社員としてがくぜんとした」と訴えたシーン。予定していた番組をすべて休止、延期して会見を中継したことでも現場の最前線で奮闘する社員たちの危機感が伝わってくる▼こうした会見で、質問する側や視聴者らが納得する回答を引き出すのは難しいのかもしれないが、今後のありようが大きく問われたのは間違いない。メディアが起こした不祥事を、メディアがどう追及し報じていくのか。問題の根は深い。