戸田建設は山岳トンネル工事で自律飛行ドローンを活用した切羽自動監視システムを開発した。GNSS(全球測位衛星システム)が利用できない環境下でも自律飛行を可能とする「非SLAM型自律飛行ドローン」に切羽の検知とAIでの評価機能を付加。切羽観察の一連の作業を自動化した。施工中のトンネル工事で技術検証に成功し、切羽観察作業の自動化を実現した。これまで写真の撮影から帳票作成まで2時間程度かかっていた作業が17分に短縮されたという。
同システムは、Spiral(東京都葛飾区、石川知寛代表取締役兼最高経営責任者〈CEO〉)、GreenBee(同中央区、岩本定則代表取締役)との共同開発。▽切羽検知アプリ▽メンテナンスフリーの充電ポート▽AI切羽評価機能-で構成する。
同アプリは飛行計画、ライブビュー、切羽検知、画像検出の四つのモードを搭載し、障害物の回避や切羽の自動検知ができる自律飛行を可能とした。事前にセットした飛行計画を選択するだけで適切な飛行を指示し、ドローンのリアルタイムな飛行ルートやストリーミング動画を確認できる。対象とする切羽測点を入力するだけで、適正な位置で切羽写真を自動で撮影し、AIが評価に適切な写真を自動的に検出する。
戸田建設は山岳トンネル工事で飛行安定性から画像取得、AIの切羽評価まで一連のシステムの効果を検証した。結果、充電ポートから自律で離陸し、トンネル坑内を撮影しながら重機などの障害物を回避できることを確認。適切な位置で切羽を撮影後帰還し、充電ポートへの着陸まで完全自動で運用した。
さらに数百枚の切羽写真からAIが切羽監視に適切な写真を選定し、適切に評価を行えた。
今後、トンネル坑内での自律飛行で故障が発生した場合でも、システムが安全に動作し続けるようにする「フェールセーフ機能」の向上を行う。2025年度中に本格運用を開始する。