国土交通省は建設副産物のリサイクル促進に向け、建設発生土を官民一体で有効利用するためのマッチング強化と、再生骨材を使ったコンクリートの利用拡大という二つの施策を早期に具体化する方針だ。建設発生土ではマッチングの仲介役となる第三者の活用や、2023年に登録制となったストックヤードの活用を視野に入れる。再生骨材コンクリートは直轄工事で利用を推進する方向で検討し、供給エリアの拡大方策などを併せて講じる。=2面に関連記事
有識者会議の建設リサイクル推進施策検討小委員会の29日の会合で国交省が説明した。春ごろまでまとめる今後のリサイクル施策の提言に盛り込む事項を整理。政府が先月末にまとめた循環経済(サーキュラーエコノミー)の政策パッケージも踏まえ、建設発生土や再生骨材への対応を「急いで具体化を図る」(塩見英之総合政策局長)考えだ。
建設発生土のマッチングでは日本建設情報総合センター(JACIC)が提供する新たなシステムが5月に運用開始する。既存の「建設発生土情報交換システム」や「建設発生土の官民有効利用マッチングシステム」を一体化し、使い勝手を高めてシステム利用者や登録件数・土量を増やす。
現状では工事間利用のマッチング事例が少ない理由としてタイミング調整の難しさがあるため、仮置き場として機能するストックヤードや土質改良プラントを活用する方向で検討。実際のマッチングには現場レベルで土質や土工期を確認・調整する必要もあり、こうした役割を専属で担う第三者の介在も必要とする。
コンクリート塊のリサイクルは、供給に対し需要が少ない実態がある。多くは再生砕石(再生クラッシャラン)となり道路の路盤材などに利用されるが、首都圏は在庫過多で地域的な偏りが大きく、コンクリート用の再生骨材としての利用が期待される。
再生骨材は品質が高い順に「H」「M」「L」の規格がある。直轄工事ではM、Lの適用範囲を基準化しているが、実際の適用は少ない。比較的広く適用できるM規格に重点を置き、直轄工事で活用を推進する考えだ。直轄工事が先導することで、極端に少ない再生骨材コンクリートの製造工場を増やすきっかけにもなる。技術的な課題となる乾燥収縮の抑制対策も検討する。