青森県/共同経営・統合新病院基本計画案、事業費最大966億円見込む

2025年1月31日 工事・計画 [6面]

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 青森県の宮下宗一郎知事は30日に開いた県議会の議員全員協議会で、公立2病院を対象にした「共同経営・統合新病院整備」事業の基本計画案を説明した。県立中央病院と青森市民病院を統合した新病院を、全県からアクセスしやすい浜田中央公園・県営スケート場周辺エリアに整備する。概算事業費は885億~966億円と試算。宮下知事は「2025年度に基本設計を発注し、土地利用や建物の配置計画、建築・設備計画など病院整備の仕様を確定させる」と表明した。
 新病院の建設地は青森市浜田にある県営スケート場(敷地面積4万2942平方メートル)、サンドーム(青森市屋内グラウンド、1万5642平方メートル)、浜田中央公園(3万平方メートル)の敷地を候補とする。建築計画によると、建物は病院棟(9階建て延べ7万2600平方メートル程度)と緊急医療施設(2階建て延べ1000平方メートル程度)、院内保育所(平屋600平方メートル程度)、来院者用立体駐車場(4階建て延べ1万5600平方メートル程度、約700台)、職員用立体駐車場(6階建て延べ2万3400平方メートル程度、約950台)で構成。来院者用立体駐車場の屋上にヘリポートと格納庫も設ける。病院棟と緊急医療棟、来院者用立体駐車場、ヘリポートは渡り廊下で接続する。
 概算事業費は本体建築工事で648億~729億円を見込み、設計・監理費18億円、付帯施設工事費59億円、医療機器購入費120億円などと合わせ総額885億~966億円と試算した。財源は病院事業債や医療関連基金を活用した補助金などを想定する。整備運営費の負担割合は県が6割、市が4割になる。
 32年10月の開院を目指し、25年度に基本設計を発注する考えだ。資機材価格や人件費の上昇、高止まりなどを背景にコストや工期で不確実性が高まっているため、設計段階で整備スケジュールを見直していく。27年度に実施設計を終え、28~31年度の4カ年を工事期間に充てる。
 診療科目は39、病床数は757床とし、県全体の医療水準向上に貢献する施設として安全で良質な医療サービスを提供する。二つの病院を統合し新病院を整備する効果は212億円と試算。本体工事費で82億円、交付税措置の増額(86億円)などを財政面での効果額に挙げた。
 県は有識者会議への報告と意見聴取、住民説明などを通じ基本計画案に対する声を拾う。2月10日に議員全員協議会を再度開く。県立中央病院は昨春に「青森県と青森市の共同経営・統合新病院整備アドバイザリー業務」を佐藤総合計画に委託していた。