奈良県/南部防災中核拠点基本計画、ゴルフ場跡に3段階で整備

2025年1月31日 工事・計画 [8面]

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 奈良県は30日、広域的な防災拠点の在り方などを議論する「災害応急対策(防災拠点)検討部会」(部会長・河田惠昭関西大学特別任命教授)を開き、五條市の県有地に整備する南部中核拠点の基本計画について中間報告を行った。南海トラフ地震などの大規模災害に備え、3段階で施設を整備する方針で、2025年度にヘリコプターの離着陸場などを先行整備する。同年度は造成計画の検討も始め、38年度中の全体供用を目指す。
 中間報告案によると、南部中核拠点は同市黒駒町762ほかのゴルフ場跡地に整備する。敷地面積は約64ヘクタール。谷を挟んで東エリア(約45ヘクタール)と西エリア(約19ヘクタール)に分かれ、橋で両エリアを結ぶ。京奈和自動車道や国道24号など幹線道路にも近い。
 東側は主要な施設を配置するコアゾーンとし、救助活動の拠点となるベースキャンプや駐車場の用地(7・7ヘクタール)を設けるほか、支援物資保管庫(1600平方メートル)、駐機場4カ所、格納庫(500平方メートル)、給油施設(800平方メートル)を整備する。全体の面積は約9・5ヘクタールを想定。西側のコース部は支援ゾーンに位置付け、隣接府県などの応援部隊を受け入れるベースキャンプや駐車場などに活用する。
 防災効果を早期に発現するため、3段階に分けて整備する方針で、第1段階は旧ゴルフ場のグリーン部や管理用通路を活用し、ヘリコプターの離着陸場(約1400平方メートル)や通路(約180メートル)を整備。クラブハウス跡地や平らなコース部の一部(約1・1ヘクタール)はベースキャンプや駐車場にする。今後、実施設計を行い、25年度中に工事を終える予定。
 第2段階ではコアゾーンの施設整備、第3段階では旧ゴルフ場の地形を活用して支援ゾーンを整備するとともに、外周道路などを設置し、防災機能をさらに強化させる。両ゾーンの造成に当たっては、切り土と盛り土の高さを抑えることで建設コストを削減し、各エリアごとに土工量のバランスを取る。
 今後、コアゾーンの施設配置を検討し、造成範囲を精査。支援ゾーンの整備は精査を踏まえ、旧ゴルフ場のコース部を活用した造成を検討し、基本計画に盛り込む。順調にいけば29年度にコアゾーンの整備に着手する。