千葉市は、カメラを搭載した水陸両用走行型ドローンを使った雨水管点検の実証実験を16日に行った。水上ドローンの開発などを手掛ける炎重工(岩手県滝沢市、古澤洋将代表取締役)と共同で実施。高水位や流量の多い場所を苦手とする従来の自走式カメラに代わり、ゼロ水位から高水位まで対応できる同社開発の水陸両用ドローンを使用。作業効率化やコスト面を含めた実現可能性などを検証した。
実証実験は、国土交通省の「令和6年度海の次世代モビリティの利活用に関する実証事業」に採択された、炎重工の「水陸両用ドローンを活用した沿岸部治水施設の点検実証」を、市内(美浜区若葉3)の地下雨水管を利用して実施するもの。水陸両用ドローンの開発が進めば、人が直接点検できない狭い管内や有毒ガスの発生場所でも、水位に関係なく劣化部位の早期発見が可能となる。
使用したドローン機体は、サイズが幅54センチ×奥行き55センチ×高さ43センチで、バッテリーを含む重量が17キロ。点検箇所を明るく照らすライトやフルHDカメラを搭載している。最高速度は水上が時速2キロ、陸上が時速1キロ。バッテリーは3時間持続するという。
カメラで撮影した動画は地上のモニターなどでリアルタイムで確認できる。地上との通信は、コンクリートで覆われた雨水管は電波が届かないため、モバイルワイファイ(Wi-Fi)を用いて無線ネットワークを構築しているという。
実験は市内を流れる花見川の護岸で行った。機体の水上、陸上走行テストや、マンホール内部の点検デモンストレーションを実施。搭載カメラで撮影した映像を、地上のモニターに映し出した。
実験でドローン操作を担当した炎重工の白坂智之氏によると、使用機体の開発期間は2024年10月から約2カ月。製品化はしないものの、「要望に合わせて搭載機能などをカスタマイズして提供していきたい。各自治体の雨水管点検作業に使ってもらえれば」と展望した。