昨年6月公布・施行した改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の実質的な運用が4月に始まるのを前に、自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」の新体制が始動した。1月31日の総会で新会長に梶山弘志衆院議員が就き、最終案が固まった品確法の「運用指針」の内容などを聴取。梶山会長は「持続可能な産業にすべく最善の努力をする」と決意表明し、改正品確法に基づく取り組みの実効性向上に加え、公共事業の全体像を見据えた予算確保、公共工事設計労務単価の引き上げに取り組む意向を示した。=2面に関連記事
総会では国土交通省が建設業関連の政策動向を報告。これを受けた各議員の発言や建設関連団体の要望を踏まえ、政府に提出する議連の要望書を会長一任で取りまとめることを決めた。
閉会後、取材に応じた梶山会長は「建設業は地域の守り手、インフラ整備の担い手。その体制をしっかりつくり、残していくことが必要だ」と強調。運用指針を市町村レベルにも浸透させ「災害がある中で、地域のために建設業をどう残していくかを考えながら発注してほしい」と訴えた。
担い手不足にあえぐ業界の現状を踏まえ、当面は賃上げ環境の整備に注力する。設計労務単価が12年連続で上昇する中、新たな運用指針を踏まえ「元請と下請それぞれが利益を出せて、従業員に還元できるよう実効性を高める」とした。
品確法の次回改正を見据え課題を洗い出す考えも示した。幹事長を務める佐藤信秋参院議員は、予定価格の上限拘束性を「デフレ構造そのもの」として「品確法の世界で(制度見直しに)どう挑戦できるか。時間はかかるが、論理を構築していきたい」とした。副会長として主要メンバーに名を連ねる古川禎久衆院議員も「インフレの時代に突入したのに、旧態依然の発注の在り方でいいのか」と問題意識を共有している。
総会には2005年の品確法制定に尽力した岸田文雄前首相も出席し「野党との交渉などで制定に関わり大きな関心がある。最近の動きや今後の方向性をフォローしていきたい」と積極的な参画に意欲を示した。