回転窓/「鬼ぎり」で邪気払い

2025年2月3日 論説・コラム [1面]

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 コンビニ最大手がコメの価格高騰を受け、一部のおにぎりや弁当などを順次値上げすると先月発表した。おにぎりは最大30円近く上がったようで、コメの価格動向が注視される▼そうした中でもおにぎりブームは続きそう。それぞれに特徴のある専門店も増え、ヘルシーで手軽に食べられるとして海外での人気も高い▼日本の国民食とも言えるおにぎりの語源には諸説ある。国文学者・吉海直人氏の著書『暮らしの古典歳時記』(角川選書)を読むと、かなり古い時代までさかのぼる▼おにぎりを表す言葉の「握(にぎ)り飯」は古典で「にぎりいひ」と言い、奈良時代に編さんされた『常陸国風土記』に「風俗(くにぶり)の説(ことば)に握飯筑波の国といふ」と書かれている。これを信じれば握り飯は筑波国(茨城県)の方言だったことになるという▼今年の立春はきょう3日。昨日の節分に合わせ、小さなお子さんがいる家ではのりや卵焼き、かつお節などで鬼の顔に似せたかわいらしい「おにぎり」ならぬ「鬼ぎり」を作られたかもしれない。豆まきとともに邪気を払い、この1年も健康で幸せに過ごせるよう願いを込めて。