祖父が棟梁(とうりょう)、親戚が工務店経営者という職人一家に生まれ、幼い頃から施工現場をよく訪れていた。大学では構造や意匠、設備などを専攻。現場監督を目指すようになった。ハウスメーカーやゼネコンを中心に就職活動を進め、アットホームな社風に引かれた現在の会社に入社した。
1年目から中規模工事の施工管理を任された。慣れない業務に忙殺され、現場で隠れて涙を流すこともあった。それでも仕事への熱意を失わなかったのは、二人三脚で現場を回す所長の存在があったから。自身の努力を認め、励まし続けてくれる姿勢に「少しでも期待に応えられるよう頑張ろう」との思いがあった。
リノベーション事業の営業補佐を経て、現在は工事の概算見積もり業務を担う。資材価格を調査し、基本計画段階のわずかな図面を基に工事費を算出する。受注の獲得に直結する重要な役割だが「現場と営業補佐の経験が生き、広い視点から仕事を見られている」という。
求められる知識や責任はさらに大きくなる。「どんな状況にも立ち向かい、心配せずに進んでいこう」--。そんな思いを胸に、日々研さんを続けている。
趣味はキャンプ。毎週末はテントと寝袋を車に積み、各地のキャンプ場に繰り出す。テントの設営や天候の確認など「建築と同じぐらい段取りと準備が重要」という。現場を読む力が趣味にも生きている。
ナカノフドー建設東京本店積算部第二グループ主任(たけした・みく)