九州地方整備局と長崎県、同県諫早市は2日、「本明川ダム本体工事着工式」を同市本野町の本野小学校で開いた。洪水調節と流水の正常な機能の維持を目的に本明川水系本明川に計画され、本体ダムとしては九州整備局管内初の台形CSGダムとなる。総事業費は約730億円。2032年度の完成を目指す。建設(一期)工事は大成建設・熊谷組・西海建設JVが担当。
着工式には大石賢吾知事や大久保潔重諫早市長、森田康夫九州整備局長、大成建設の田中茂義代表取締役会長らが出席。関係者が鍬入れを行い、1日に行った工事着手の号令の映像を流すなどして着工を祝った。
式典で森田局長は「着工式を迎えられたのは関係各位の多大なるご支援、ご尽力のたまものであり、深く感謝申し上げたい。施工者と協力して地元優先、安全第一で工事を進め、早期事業完了に向けて全力で取り組む」と式辞を述べた。
大石知事は「早期完成が切望される中で、いよいよ本体工事に着手した。地域の方々の生命、安全を守るため県としても皆さんと力を合わせて早期完成に取り組んでいく」とあいさつした。
地元を代表して大久保市長は「安全確保に万全を期されるとともに、地域住民の生活環境に十分配慮いただき、無事故・無災害で素晴らしい施設が完成するようお願いする」と述べた。
諸元は堤高約60メートル、堤頂長約340メートル、天端高151・5メートル、堤体積(減勢工を含む)約62万立方メートル、総貯水容量620万トン。基礎掘削、転流工、CSG製造設備の整備などを27年度をめどに進め、28年度から堤体打設を開始し29年度中に完了する予定。30年度から試験湛水を実施するとしている。
1期工事の内容は、基礎掘削約34万立方メートル、材料採取約24万7000立方メートル、CSG打設約13万立方メートル、コンクリート打設約5万6000立方メートル、補助カーテングラウチング延長約1万4000メートル、カーテングラウチング延長約4000メートル。
長井健二作業所長(大成建設)の話
「地元に迷惑を掛けないよう地域ファーストで仕事をしていきたい。台形CSGダムの技術を継承するための技術者育成も使命と思っている」。