大阪港湾局は港湾・臨港地区での脱炭素化に向けた新規の取り組みとして、「CCS(二酸化炭素〈CO2〉の回収・貯留)バリューチェーン(価値連鎖)の構築」「荷役機械の照明LED化」「南港発電所の更新計画」「アンモニア供給拠点形成の検討」などを推進する方針を示した。いずれも2025年度以降での実現を目指す。
1月27日に開いた「大阪“みなと”カーボンニュートラルポート(CNP)推進協議会」の第3回会合で、「大阪港・堺泉北港・阪南港・港湾脱炭素化推進計画」にこれらの新規事業を追加した変更案を提示し、大筋で了承を得た。3月末までに策定し公表する。
現行の推進計画は大阪市(大阪港湾管理者)と大阪府(堺泉北港・阪南港港湾管理者)が港湾の脱炭素化を進める指針として24年3月に策定した。CO2を直接削減する「削減事業」と、間接的に削減する「貢献事業」の二つのカテゴリーがある。今回の追加で削減事業が全8事業、貢献事業が全2事業となった。
削減事業のCCSバリューチェーン構築は、堺泉北港堺5・6区(堺市西区)で工場や火力発電所から排出されるCO2を分離・回収し、液化した上で海外の貯留地へ輸送・貯蔵する施設、仕組みを構築する。実施主体は関西電力とコスモ石油の2社。現在、JOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)の「先進的CCS事業」として設計作業を進めており、26年度に最終的な投資判断を行い、30年度の本格運用を目指す。年間25万トンのCO2処理を想定する。
荷役機械の照明LED化は大阪港咲洲地区(大阪市住之江区)のターミナル内にあるタイヤ式門型クレーン5基16灯が対象。実施主体は日東物流。実施期間は25~28年度。
一方、貢献事業では南港発電所更新計画として関西電力が大阪港咲洲地区で出力180万キロワット級(60万キロワット級×3基)の新型火力発電設備を導入し、CO2排出係数を約3割低減する。29年度の運用開始を予定している。
アンモニア供給拠点は堺泉北港泉北1区(高石市)で三井物産、三井化学、IHIの3社が連携し、貯蔵タンクや受け入れ・払い出し設備を整備する。年間約20万トンのアンモニア供給を想定。非化石エネルギー等導入促進対策費補助金(水素等供給基盤整備事業)を活用し、30年度に事業を開始する。
変更案では30年度の温室効果ガス排出量46%削減(13年度比)、50年の実質ゼロを目指す。