八潮市の道路陥没事故/運転手の救助難航、復旧工法の検討開始

2025年2月4日 論説・コラム [2面]

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 1月28日に発生した埼玉県八潮市の道路陥没事故から1週間が経過した。重機搬入用のスロープは完成したものの、内部へ水の流入が続き、転落したトラックドライバーの救助は難航。現場では救助支援や復旧のため建設会社が懸命の作業を続けている。県は事故原因究明と本格復旧に向けた検討委員会を2日に立ち上げた。崩落の原因は地下の下水道管路破損とされ、全国で下水道幹線の緊急点検が始まるなど影響が広がっている。
 救助や復旧が技術的に難しいことから、県下水道事業課は国土交通省や日本下水道事業団(JS)、日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)、埼玉県建設業協会(埼玉建協、小川貢三郎会長)、日本下水道管路管理業協会(長谷川健司会長)などに協力を要請。このうち日建連加盟社からは鹿島と大成建設が作業員や建設機械を派遣した。
 現場では2日からの雨もありスロープ完成後も救助活動は進んでいない。土砂やがれきの撤去を進めるとともに、さらなる地盤崩落を防ぐため穴の周辺に薬液注入を実施した。県は救助と復旧の方法を検討するため「復旧工法検討委員会」を立ち上げ、2日に現場近くの八潮新都市建設事務所(八潮市)で初会合を開催。委員会には国、県のほか日建連や埼玉建協も参加した。
 事故を受け県では周辺で別の空洞がないか調査を実施。県下水道事業課の担当者は「同様の被害が発生する恐れもあるので、他の下水道管の調査などを行うための予算計上も必要」と話している。国交省も全国の下水道管理者に対し緊急点検を要請した。中野洋昌国交相は1月31日の閣議後会見で「今後、事故原因の調査結果等も踏まえて強靱な下水道確保のため必要な対応をしっかり検討していく」と強調した。
 下水道管路を巡っては以前より老朽化が指摘されてきた。国交省の調査によると、全国下水道管路のうち6・5%に当たる約3万キロ(22年度時点)で、耐用年数を超えているとされ、対策を完了した管路の割合も63%(同)にとどまる。今後、下水道管路を含めたインフラ老朽化の対策に注目が集まることになりそうだ。