インフロニアHD、燈/AIで道路空間異常検知、25年夏までに自治体本格導入へ

2025年2月4日 技術・商品 [3面]

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 インフロニア・ホールディングス(HD)と燈(東京都文京区、野呂侑希社長兼最高経営責任者〈CEO〉)は、AIを用いた道路空間の異常検知システムを開発した。車に搭載したスマートフォンで走行しながら撮影した道路空間の動画からデータを収集し、リアルタイムで異常検知と3Dデータ作成を実現。差分検知AIも活用することにより、ほぼリアルタイムで舗装の異常やガードレールなどの変形や損傷を自動で検知する。道路落下物や植栽など建築限界に侵入した物体も検知、可視化できる。
 同システムでの主な検出対象は▽ひび割れ▽ポットホール▽カラー舗装・区画線の薄れ▽ガードレールや電柱、標識の損傷▽落下物、建築限界内に侵入した物体-など。
 ひび割れやポットホール、カラー舗装・区画線の薄れを検出する際、教師データなしで環境や損傷形状の影響を受けず新規損傷の未検出を抑制するAI技術を用いる。ガードレールや電柱、標識の損傷検出では、変形などの通常状態と異なるものが検出できる「コンテキスト理解が可能な画像認識」のAI技術を活用。落下物や建築限界内に侵入した物体を検出する際、ほぼリアルタイムで検出可能な「指定エリアへの侵入検知」のAI技術を適用する。
 いずれも大量の教師データを事前に準備することなく、さまざまなAI技術で汎用(はんよう)的な異常検出を実現し作業負担を大幅に軽減。差分検知AIで損傷個々の進行量も計測でき、パトロールや点検の現場で緊急度の高い損傷にも応急措置の速やかな判断が可能になる。
 両社は今後、同システムの実証実験をさらに進め、継続的な精度向上に向けた仕組みを構築する予定。今夏までに道路管理者の地方自治体への導入や提供を本格化し、メンテナンスの効率化と安全性の向上に貢献する。