回転窓/急がれる温暖化対策

2025年2月5日 論説・コラム [1面]

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 昔の人は世の中の恐ろしいものやかなわないものを〈地震・雷・火事・親父(おやじ)〉と表現した。このうち駄じゃれと思っていた〈親父〉は、台風を意味する大山風(おおやまじ)がなまったとする説もある▼防災意識を高めるこのことわざは、江戸時代後期には使われていた。言葉だけでなく、地震や火事から逃げ惑う人々を描いた絵からも天災の恐ろしさが伝わる▼米ロサンゼルスで先月7日に発生した山火事は2週間以上続き、家屋約1・6万棟が焼失。2028年の五輪開催を控える同地の一日も早い復興を願う▼異常気象を研究するワールド・ウェザー・アトリビューションは、地球温暖化で火事が起きやすくなっているとする分析リポートを発表した。現地では昨冬に大雨が降り、逆に今冬は雨がほとんど降らなかったことで空気が乾燥。成長した草木に火が燃え移り被害が拡大したという▼トランプ大統領は来年1月に気候変動対策の国際ルール「パリ協定」から正式に離脱すると表明した。災害を減らすには世界各国が協調して温暖化対策を推進していくことが求められる。先人の言葉を教訓にできることから始めたい。