担い手不足など建設業が抱える課題解決に向け、関東甲信地域の官民関係者らが一堂に会し、関連施策をより効果的に展開するプロジェクトが動き出した。関東地方整備局が同地域の発注機関や建設関連団体らに呼び掛け、17日に初会合を開いた=写真。「週休2日の推進」と「建設業の魅力・意義(やりがい)の効果的なPRの実施」をテーマに設定。各地域の実態を深く掘り下げ、それぞれの状況に合った方策を探り、官民一体で取り組む機運醸成を促す。6月までに2回目の会合を開き、受発注者が取り組み可能な事項を申し合わせる。
今回の意見交換は、人材不足に陥る建設業界の将来に強い危機感を抱く同局の岩崎福久局長の発案に基づき、他地域に先駆けて実施された。関東甲信の1都8県5政令市のほか、日本建設業連合会(日建連)関東支部や各都県市の建設業協会、建設産業専門団体関東地区連合会ら幅広い層の関係者が出席。個々の地域や企業の実情などを知る関係者が集まる場で担い手確保への認識と課題を共有しながら、より最適な取り組みを展開するのが狙い。民間発注者団体への要望などを通じて成果を広く発信していく方針だ。
初会合であいさつした岩崎局長は「インフラの整備や維持管理を続けていくには、生産性を高めるだけでなく、建設産業の入職者を増加・定着させることが大事であり、魅力的で働きがいのある産業となるには設計労務単価の引き上げなどの処遇改善も重要だ。意見交換を通じて建設業の担い手確保につなげたい」と期待感を示した。
意見交換会で週休2日の取り組み状況を説明した各団体からは、市町村や民間側の理解が不十分との意見が目立った。建設業のPRの一環で関係団体が取り組む出前講座については、ターゲットを指導教員や高校生以下の若年層にも広げるべきだとの声が聞かれた。トイレを含む現場の労働環境改善を求める意見も相次いだ。
時間外労働の上限規制適用などを踏まえ、働き方改革を強力に推し進めてきた建設業界。関東整備局では今回のプロジェクトを通じて、有効な施策や取り組み成果が業界内外に広がり「入職促進のきっかけになれば」(建政部)と期待する。