20政令指定都市の2025年度当初予算案が17日に出そろった。人件費・扶助費の増額や長寿命化事業の増加などを背景に、15市以上で一般会計が過去最大となった。投資的経費は13市が前年度を上回った。大阪市は4月に開幕する大阪・関西万博関連に300億円以上の予算を配分。千葉市は複数の工事がピークを迎える。相模原市などインフラ整備や防災・減災事業に注力する市も多い。
20市の一般会計の総額は17兆870億円。個別に見ると、前年度比プラスとなる自治体は18市に上った。千葉市は3月に市長選を控えているため、骨格予算案として編成した。札幌市など、物価高騰や人手不足といった課題に対応した予算案を組む動きも目立った。
投資的経費は9市で2桁増となった。新潟市は引き続き能登半島地震関連の復旧費を計上。名古屋市は新規に南海トラフ地震等による被害想定の再検討を進める。今年で阪神・淡路大震災から30年の節目を迎えた神戸市は、災害対応力の強化に取り組む。
横浜市や福岡市は都心臨海部や港湾周辺施設の魅力を高めるまちづくりを推進する。川崎市や北九州市は、カーボンニュートラルポート(CNP)関連事業を積極展開。大阪をはじめ、京都、堺、神戸の各市は大阪・関西万博を契機に、地域の魅力発信や誘客促進事業を予算化している。
仙台市やさいたま市、浜松市、岡山市、熊本市では新庁舎整備事業に予算を重点配分した。仙台市は本庁舎の建築、設備工事を進める。31年度をめどにさいたま新都心駅周辺エリアに新庁舎整備を計画するさいたま市は基本設計などに取りかかる。岡山市などは、庁舎整備と連動して周辺エリアを含めたまちづくりに注力する。
スポーツや文化の拠点として新アリーナの建設プロジェクトを進めるのは静岡市や浜松市など。静岡市はJR東静岡駅周辺に30年春ごろの開業を見込む多目的アリーナを計画。建設用地取得費を計上し、新アリーナを核とした東静岡のまちづくりも推進する。浜松市は浜松アリーナリニューアル整備・運営事業の事業者選定手続きに入る。広島市はMICE(国際的なイベント)施設の整備に向け、基本方針をまとめる考えだ。