都道府県の2025年度予算案が19日に出そろった。普通建設事業費などを含む投資的経費は31都府県で24年度(当初予算ベース、一部補正後)を上回った。学校校舎をはじめとした公共施設の更新や防災・減災対策を強化する地方自治体が多かった。山形県は24年7月の大雨被害に伴う復旧費が膨らんだ。石川県は能登半島地震や豪雨被害からの復旧・復興に約3200億円を投じる。
石川県と熊本県は24年度が骨格予算だったため、補正予算による肉付け後の金額と比較した。投資的経費の増加率が2桁となったのは山形と福島、神奈川、奈良の4県だった。
山形県は大雨で被災した道路や河川などの土木施設を復旧するため、144億円を充てる。河川施設の現状把握など、事前防災対策の強化に向け23億円を振り向ける。
福島県は東日本大震災からの復興に向けた公共事業費などが増えた。25年度は次期「ふくしま創生総合戦略」がスタートする。震災・原子力災害からの復興・再生と地方創生の両輪で施策を展開する。神奈川県は県立学校の耐震化を推進するとともに、図書館や歴史博物館を改修する。道路を造るための用地取得も計画している。奈良県は文化会館の再整備や防災ヘリコプターの更新などを行う。
防災関連では東京都が首都直下地震や激甚化する風水害などに備える「TOKYO強靱化プロジェクト」関連予算を24年度比544億円増となる8161億円計上した。この中で地震対策に4486億円を使い、延焼遮断帯の形成や無電柱化などを加速する。
自然災害などへの危機対応を課題に挙げている埼玉県は、孤立集落解消に向けたアクセスルート強靱化推進費に3億64百万円を充てる。流域治水対策を推進するため、関連経費に140億23百万円を計上。河道や調節池などを整備する。
南海トラフ地震での被災が想定される三重県では、24年度比14・8%増となる約37億円を地震対策費などとして使う。避難路沿道の建築物の耐震化を促進。地元自治体による避難タワーなどの整備も支援する。和歌山県は能登半島地震の教訓を踏まえ、道路ネットワークの整備を加速する。関連経費に275億32百円を計上した。
リニア中央新幹線が通る予定の自治体では、開業後に向けた準備が進む。山梨県は新たな航空需要を見据え、空港整備の可能性と課題を調査する。
長野県はリニアの整備効果を波及させるため、必要な道路の建設を継続する。愛知県は「リニア大交流圏」の形成に向け、社会基盤の整備や交通対策など関連経費として2747億45百万円を振り向けた。
同県は名古屋市と共催で26年にアジア・アジアパラ大会の開催を予定。25年度予算案には準備費用として336億90百万円を計上した。
大阪・関西万博の開催を予定している大阪府は、パビリオンの運営や参加促進、開幕後の持続的な経済成長につながる施策に予算を重点配分した。