北海道企業局は、中長期的な経営目標や投資・財政計画を示す経営戦略の改定案をまとめた。2025~29年度の5カ年の建設改良費は電気事業で約98億円を見込み、岩尾内発電所の大規模改修などを実施する。室蘭、苫小牧、石狩合わせた工業用水道事業は24年11月に示した原案より約28億円増の273億円を見込み、苫小牧で新規ユーザー配水管敷設、石狩で水管橋耐震補強を盛り込んだ。経営戦略は本年度内の成案化を目指す。
現行の経営戦略は20~29年度を計画期間とするが、20年度の計画開始以降、ラピダスの次世代半導体製造工場やデータセンターの立地などを契機とした再生可能エネルギーや工業用水需要の高まり、資材費や人件費の高騰、金利の上昇による経営コストの増大、ゼロカーボンの実現などの社会的要請の高まりなど、経営環境に大きな変化が生じたため、中間年となる本年度に内容を見直す。
中長期の投資計画を見ると、電気事業では20年度から40年間の建設改良費に約744億円を試算。主な事業では計画期間内に岩尾内発電所大規模改修(21~28年度)に約67億円、ポンテシオ発電所改修(21~25年度)に約23億円を投じる計画で、25~29年度の建設改良費は約98億4500万円を見込む。このほか計画期間外の事業として、川端発電所大規模改修(31~39年度)、鷹泊発電所大規模改修(41~49年度)を計画するとともに、川端ダムと鷹泊ダムについてはダム安全性評価委員会で審議中となっており、国がダム改修を含めた老朽化対策を検討している。
工業用水道事業では、今後40年間の更新需要に室蘭工水で約160億円、苫小牧工水で約440億円、石狩工水で約60億円の総額約660億円を試算。25~29年度の建設改良費には室蘭工水が30億7600万円を投じる計画で配水管更新改修やダム放流設備耐震補強などを実施。苫小牧工水は225億6900万円で配水管更新改修や新規ユーザー配水管敷設などを計画し、25年度は約92億円、26年度は100億円超の投資を見込む。石狩工水は17億1400万円で配水管更新改修や新たに水管橋等耐震補強などに取り組む。